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理工学系技術部長挨拶

これからの技術部に求められるもの
(後継者養成プログラム)

理工学系技術部長 船﨑 健一

 岩手大学に限りませんが,地方国立大学の理工学系学部の使命は,地域や日本における広義のものづくりや文明を支えるための高度技術者や研究者を養成し,社会に送り出すことが第一義であり,そのための教育研究体制を充実させることが組織として求められています.充実した教育研究体制とは,教員—技術系職員—事務系職員が三位一体となり,それぞれが誇りと責任を強く自覚して個々の職務をプロとして遂行するとともに,他部門と有機的に連携することが可能な体制であると考えることができるでしょう.

 技術系職員の方々は文字通り「技術のプロ」であることが前提ですが,大学での技術系職員は企業内における技術者とはかなり異なります.企業には売り上げと収益という明確な目標があり,最終的には組織内の全ての機能は高収益化を目的として最適化されていると考えることができ,企業内技術者にもそれへの対応が常に求められています.一方,大学における技術系職員には,学生への技術教育の補助や時に主導的な技術指導を行うことが最も重要な業務と位置づけられており,単に技術だけを追い求めるだけではなく(それ自身大変な努力が必要な行為ではありますが),そこに「人を育てる」という側面が重要な要素として加わっています.勿論,従来から技術系職員の方々には学生指導の面でも大いにご尽力頂いておりますが,理工学系技術部としての今後の大きな課題として,「技術部内での後継者」という人材育成に関する更なる機能強化を挙げたいと思います.

 古くは,教室系技術職員という,いわゆる「一匹狼的」技術職員の集団であったものが,工学研究科博士課程設置にタイミングを合わせる形で工学部技術部という形に組織化され(平成7年3月),その後岩手大学が独法化された平成16年4月に全学組織である技術部が設置され,その枠組みの中で技術部は工学部技術室へ改編され,技術系職員の組織化が格段に進みました.その後,平成22年4月には工学系技術部に改まり,さらにそれぞれの班(グループ)の活動スペースの確保と,組織としての自主独立性は格段に強まったと思われます.しかしながら,元々研究室等に張り付きそこの教授の指導の下で研鑽を積む,という形で長年技術系職員の育成が行われてきたため,組織化後も人材育成プログラムが明確な形では技術部内では確立せず,グループ間の差はあるようですが,研修等での自発的研鑽とOJTが標準的のようです.この方法では,ベテランが次々に退職を迎えるこれからの技術部における技術レベルの維持発展には大きな困難をもたらすことは必定です.私の理工学系技術部長としての在任期間中に,少なくとも技術部内の後継者育成に関する何らかの橋頭堡(足がかり)を築けたらと考えております.

 「人を育てる」ことは非常に難しい作業です.私自身も学生時代や会社員時代での指導される立場,そして大学教員になってからの指導する立場でいろいろと経験しております.指導の際には時に厳しい態度を取ることも必要ですが,育てる側と育てられる側の間に信頼関係を確立することにより,育てる側の意図が正しく通じるでしょう.逆を言えば,信頼関係のないところに「人を育てる」行為は成立しえません.互いを尊重し信頼しまた高め合うことができる技術のプロ組織,そのような理工学系技術部を目指して微力ではありますが努力する所存です.皆様のご指導ご鞭撻のほど宜しくお願いします.