施設見学に行ってきました

2012.6.29, 派遣先の研究室の先生と一緒に,とある大学の研究所へ施設見学に行ってきました.

下の写真はタンデム型イオン照射装置と呼ばれるもので,約4スパンの広さの部屋全体に収まっている大きな装置です.

大きさがわかるでしょうか?あまりに奥行き感がないので3Dっぽく加工してみました.(下写真)

写真奥にある太い管がイオンを加速する装置です.見えないですが,太い管のさらに奥にはイオン源があります.手前には高速のイオンを衝突させ,その影響を調べるための装置が並んでいます.手前右側にある釜(?)の中に当研究室で作成した装置が入っています.

私が支援する研究室では,高温環境において中性子照射された金属材料がどのように劣化していくかを研究しており,中性子照射とイオン照射でものは違いますが,ほぼ同じ状況を再現できるということで,この装置を利用させていただくことになりました.

今回は予備実験にとどまりましたが,次回からは実際にイオン照射を行うことになるそうです.

余談
3D加工について:装置の写真を撮るとき,あまり奥行きが伝わらないだろうと思い,3D風にするため,あらかじめカメラを少し横にずらしながら複数の写真をとってきました.そしてステレオフォトメーカーというフリーソフトを利用し3D化しました.裸眼で見られるようGIFアニメーションによる動く画像としました.

?Written by たけし
2012.7.3

FE-EPMA研修(第2弾)を開催

前回、研修を行ったのが約1か月前。
あまり間が空いてしまうと折角覚えたことを忘れてしまいます。
「早いうちに復習しよう!」ということで第2弾を開催しました(2012.6.22)。

 

今回の試料はこちら。

上から時計回りに、Fe-Si(鉄-ケイ素)合金2種類、500円玉、50円玉の計4種類です。
分析依頼を受けた試料が2つで、試料ホルダが2か所空いてしまったため、硬貨も観察してみることにしました。

 

先ずは、前回の復習ということで、SEM像(二次電子線像)及びCOMP像の観察とカラーマップの作成を行いました。
カラーマップでは、指定した元素ごとに特性X線像が観察可能で、存在する箇所が特定出来ます。
また、濃度変化に伴い、【 赤色(濃度が濃い箇所)~黄色~緑色~青色~黒色(元素が存在しない箇所)】 と色も変化するので、濃度分布も分かります。
下の図は今回のFe-Si合金の分析結果です。
複数の元素をまとめて表示しています(9分割)。

・マグネシウム:Mg-Kα線
・鉄:Fe-Kα線
・カルシウム:Ca-Kα線
・ランタン:La-Lα線
・ケイ素:Si-Kα線
の存在する箇所と濃度分布が分かるかと思います。

 

次に、定量分析のときに必要な標準試料のX線強度測定の仕方を学びました。
標準試料のデータは、未知試料のデータと照合する際にベースとなるものなので、その測定には高い精度が要求されます。
作業はかなり慎重に行いました。

 

と、今回はここで時間切れ。
しっかりと復習し、次回の研修に備えたいと思います。

Written by mito(材料機能技術G)
(2012.6.26)

熱分析装置の研修を行いました

2012.2.21 材料機能技術グループにおいて,今年マテリアル工学科に設置された熱分析装置(下写真)の研修を行いました.

当グループの技術職員1名が装置の管理者を担当していますが,その管理者を含め,技術職員の誰もその装置を本格的に扱った人はいません.事前に業者の方が講習会を開き,その様子を動画に収めていましたので,それで予習をしたり,熱分析の教科書を購入し,事前に準備をしたうえで研修に臨みます.

熱分析を簡単に説明すると,「物質の温度をプログラムに従って変化させながら,その物質のある物理的性質(今回は質量変化)を温度の関数として測定する技法の総称」です.この装置は,大気中,ガス雰囲気中及び真空中で熱分析を行うことができ,今回は真空中での熱分析にトライしてみます.

まずは電子秤で規定量の試料を白い小さな容器に入れます.(下写真) 粉末の試料と小さな容器が相まって,なかなか容器にうまく入ってくれません.鼻息で試料を飛ばすこと数回,電子秤の皿の上にこぼしてやり直し数回.なかなか根気のいる作業です.

やっとのことで規定量の粉末を入れた容器を装置に設置します.装置本体の上部にある黒いカバーを上げると,2つ穴が開いた白いホルダ(下写真中央)があり,その穴の中に銀色の小さな皿(直径4~5mm)が見えます.そこに先ほどの容器を置きます.手が震えてこぼさないように,ピンセットを両手で支えながら慎重に容器を置きます.

さて,苦労してようやく準備が完了し,真空中の熱分析をするため,真空引きを始めたところでトラブル発生です.真空がうまく引けないようです.大気圧でも分析できることだし,ということで気にしないで熱分析を続行したところ,結果が予想したものと違うようです.試料がどうなっているか確認してみると,なんと試料が全くなくなっています.2,3度やってみましたが真空引きの段階で試料がなくなっていることがわかりました.真空引きで試料が吸われてしまったようです.

真空に詳しい職員を中心にして,装置の真空ライン(上写真)のチェックを行ったところ,信じられないことに真空ライン中のコネクタのOリングがなくなっていることが判明しました.上のコネクタ部を分解したのが下の写真です.赤矢印で示した黒いゴム製のリング(Oリング)がなくなっていました.Oリングがないと真空引きしたときに外気が簡単に入ってきてしまい,真空度が上がりません.見た目は小さくても,非常に重要な部品です.初めて分解したときOリングがなくても,素人はそんなものかなと納得しそうですが,さすがは真空職人,何かが変だと気が付きました.

幸い装置の近くに放置されていたOリングがぴったりはまったので事なきを得ました.誰かが分解後,Oリングだけそのままにしていたのだと思いますが,装置の事前チェックの大切さを思い知らされました.そして,真空を無事に引けることを確認後,熱分析を行い良い結果を得ることができました.

今回の研修では装置の基本的な使い方を学ぶにとどまりましたが,トラブルが発生しても,職員同士でいろいろ議論しながら最終的にトラブルを解決できたのはよい成果だったと思います.同じグループでも,真空が得意な人,機械が得意な人,化学,電気情報が得意な人,それぞれの個性を活かして,グループ内で助け合って盛り上げていければいいですね.

Written by 村上(材料機能技術Gr.)
2012/5/30

伊藤さん,マテリアル工学実験に参加

伊藤さんがマテリアル工学科の学生実験に参加することになりました.今日から6月まで週2日のペースで14種の実験に参加する予定です.

初日の今日は,金属の弾性率等を測定する実験です.写真左側に見える古い引張試験を使用するため,利用の際の危険性や学生に操作させるときの注意点及び,うまく進めるためのコツなどを説明しました.

ところで,マテリアル工学実験の全14テーマを把握している技術職員はこれまでいなかったと思います.把握しているのはせいぜい3~5テーマではないでしょうか.全ての実験の内容を知りたいとは思っても,そのような機会は中々望めません.今回の研修はまたとない機会ですので,是非頑張って習得してほしいと思います.

written by 材料機能技術グループ
(2012/04/25)