東北地区国立大学法人等技術職員研修 参加報告

2024年9月18日から9月20日まで、東北大学青葉山北キャンパスにて行われた「東北地区国立大学法人等技術職員研修」に参加しました。スキル向上を目的としており、3日間にわたって特別講演、ポスター、実技研修、口頭発表が行われました。


今回、 理工学系技術部からは以下の5名が参加しました。
・米倉達郎 技術専門職員(フル参加、ポスター発表あり)
・佐々木大輝 技術職員(フル参加)
・眞野航 技術職員(フル参加)
・千葉寿 室長(口頭発表のみ)
・藤崎聡美 室長(聴講のみ)

1日目: 特別講演

1日目は、特別講演から始まりました。

最初に、東北大学 片山知史教授による「地球温暖化とこれからの海洋観測」という講演がありました。この講演では、地球温暖化が水産資源にどのような影響を与えるのか、また海洋観測で得られたデータをもとに、水産資源との関連性をどう判断すべきかが詳しく解説されました。

続いて、東北大学 原田昌彦教授による「食・農領域でのNanoTerasu利活用に向けた東北大学農学研究科の取り組み」についての講演が行われました。 2024年4月に運用が開始された最新放射光施設NanoTerasuを用いて、食材の構造を分析し、その美味しさを科学的に評価するという試みが紹介されました。

ポスター発表

午後のポスター発表では、11のテーマが紹介されました。各校が技術的な課題を発表し合う場となり、最新の技術や課題解決の方法など、貴重な情報交換の機会となりました

岩手大学理工学系技術部からは、米倉達郎技術専門職員が「自律移動ロボットROS2化に関する報告」を発表しました。自律移動ロボットの最新技術への対応や、ROS2(ロボット優遇システム)の活用による効率化について紹介し、他の参加者からも大きな関心が集まりました。各校の多様な技術の知恵が垣間見え、有意義なセッションとなりました。

ポスター発表をする米倉技術専門職員

2日目: 実技研修

「ハンダ溶接で製作するガラス容器」

2日目は、実技研修が行われました。まず「ハンダ溶接で製作するガラス容器」というテーマで、東北大学硝子機器開発・研修室の指導のもと、ガラス加工に挑戦しました。参加者は米倉、眞野の2名です。

この研修では、ガラス板をカットし、接合部に銅板テープを貼り、ハンダで溶接するという手順でガラス容器を製作しました。ガラス板を真っ直ぐにカットするだけでも難しく、細かい技術が要求されました。さらに、最後にはガラス管を使ってビーカーを製作する様子も見学し、ガラス加工の奥深さを実感しました。

特に印象に残ったのは、ガラス加工が「一発勝負」の作業であり、少しのミスが大きな失敗につながる点です。作業においては非常に集中力が必要で、半日を限界とするほど神経を使う作業だという話も聞かれました。研修を担当していただいた東北大技術職員のお話では、採用後の2年間は、ひたすらガラス加工の練習に打ち込んだというエピソードからも、技術の習得がまさに職人技であることを痛感しました。

ガラス加工研修を受ける眞野技術職員と米倉技術専門職員
出来上がったガラス容器

「様々な加工技術の基礎~汎用旋盤コース~」

続いて、佐々木が参加した「様々な加工技術の基礎~汎用旋盤コース~」の研修では、ドアベルの作製に挑戦しました。この研修では、汎用旋盤を使って真鍮の丸棒を半球形に加工し、バンドソーを使って木材を加工して、ベルを吊るすためのフレームを製作しました。

特に印象的だったのは、木材のフレームの裏に焼き印で自身の名前を刻む体験でした。このような工芸品作りの工程は、普段の業務で経験することが少なく、新たな旋盤の使い方を学ぶことができた点が非常に貴重でした。旋盤の技術を実際のものづくりに応用する機会として、とても有意義な研修となりました。

旋盤加工で作ったベル椀
完成したドアベル

3日目: 口頭発表

3日目は、8つのテーマにわたる口頭発表が行われました。各校の技術職員が、それぞれの分野で取り組んでいるプロジェクトや技術革新について発表し合いました。

岩手大学理工学系技術部からは、千葉寿室長が「あらゆる装置をDX化~トラブルの発生をスマホ等に通知する~」というテーマで発表しました。DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、装置のトラブルが発生した際にスマホなどに即座に通知が届く仕組みを構築する取り組みについて説明し、他校の参加者からも注目を集めました。

今回の発表会では、各校が取り組む技術的なイノベーションに加え、身近な問題を解決するための工夫や、組織の活動紹介なども行われ、非常に有意義な情報交換の場となりました。技術の進化だけでなく、日常の業務改善にも役立つ知識を得られた貴重な機会でした。

口頭発表をする千葉室長

技術研修の成果発表をする佐々木技術職員

Written by 東北地区研究参加メンバー D&W

(2024.10.16)

米倉達郎技術専門職員が支援する研究が優秀講演賞を受賞

技術部に所属する米倉達郎技術専門職員が技術支援を行った研究プロジェクトが、第24回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2023)において優秀講演賞を受賞しました。

このプロジェクトは、理工学部地域創生特別プログラム(ものづくり系)の小山猛助教および田鎖翼氏との共同研究によるもので、

受賞題目は「緩速ろ過池清掃ロボットのための濁水環境を考慮した池内広域移動」です。

米倉技術専門職員は、このプロジェクトにおける技術支援やロボットの設計・開発に携わっており、技術部の高度な専門知識とサポートが研究成果に貢献しています。

研究の概要

本研究は、浄水処理技術における課題を解決するためのもので、緩速ろ過法を使用した池の清掃ロボットの開発を目指しています。緩速ろ過法は、微生物の繁殖した藻の層(生物膜)を利用した浄水処理法ですが、生物膜の過剰繁殖による目詰まりが課題です。これを解決するため、浄水供給を停止せずに池全体を効率よく清掃できるロボットの設計・開発が進められています。

この清掃ロボットは、池内の濁水環境を考慮し、広域的に移動しながら清掃作業を行うもので、移動方法の検討や制御系の設計、実地実験の成果が発表されました。

ロボットのメンテナンスを行う小山猛助教(米内浄水場にて)

今回の受賞は、技術部の支援の成果

今回の受賞は、技術部が提供する技術支援の重要性を再確認するものとなりました。米倉技術専門職員は、プロジェクトの進行において不可欠な役割を果たし、ロボット技術の高度化に向けたサポートを行いました。技術部は、今後も研究者のニーズに応じた技術支援を通じて、さまざまな研究成果の実現を支えていきます。

関連リンク: 小山猛 助教のホームページ

Written by yone
(2024.10.09)

令和6年度高大連携事業に係る実習が行われました

例年行われている黒沢尻工業高校専攻科との高大連携に係る実習が2日間の日程で岩手大学にて開催されました。高大連携事業とは高校と大学が連携し教育を行うことで大学における教育内容の理解を深めることを目的の一つとして実施されるものです。黒沢尻工業高校専攻科は「ものづくり産業を支える技能者の育成」を目指しており、その取組のひとつである同事業に我々岩手大学が協力しています。 今回の実習では「鋳造」をテーマに鋳造工程を詳しく学ぶだけでなく、鋳造型の設計や鋳造による部品の量産手法について学んでもらいました。
「鋳造」とは作りたい形と同じ形の空洞部を持つ型に溶けた金属を流しこみ、冷やして固める加工法で、 伝統工芸「南部鉄器」に代表される岩手県の主幹的な製造産業であり、現在では自動車部品等、我々の生活に密接な工業技術の一つとなっています。

1日目は3DCADを用いて鋳造実習の際に使用する鋳型模型の設計実習を行った後、高度試作加工センターの見学をしました。鋳型模型は高度試作加工センター施設内にある3Dプリンターで造型し、2日目に使用します。

2日目は鋳造に関する座学を行った後、鋳造法の一つである砂型鋳造で実際に製品を製作する鋳造実習を行いました。1日目で自分達で設計した鋳型を用いて、鋳物が出来るか検証しました。


大学ならではの高度な内容の授業や実習を体験してもらい、今回の経験を今後に生かしてもらえればと思います。

・日時 :8月1日(木) , 8月2日(金)
・参加者:黒沢尻工業高校専攻科 7名
・講師 :船﨑 健一 名誉教授
     小綿 利憲 特任教授
・担当者:大志田 宜明 ものづくり技術グループ (実習指導)
     伊藤 達博  材料機能技術グループ  (実習指導)
     武田 洋一  機械工学技術グループ  (施設見学)
     太田 敏貴  ものづくり技術グループ (実習指導)
     眞野 航   ものづくり技術グループ (実習指導)

<これまでの取り組み(関連記事)>
高大連携事業 加工実習
https://eng.tech.iwate-u.ac.jp/top/?p=5349

Written by ものづくり技術グループ
(2024.8.30)

令和4年度 いわての高校生サイエンス&エンジニアリング・チャレンジコンテストで審査員を務めました

岩手県は、県内の高校生・高専生の科学への興味関心を高めるため、また、ILCでの研究開発等を担う人材育成のために、「岩手の高校生サイエンス&エンジニアリング・チャレンジコンテスト」を開催しております。このチャレンジコンテストにて、機械工学技術グループの武田 洋一 技術専門職員が審査員を務めました。県内の3つの高等学校から11チームがエントリーをしたこのコンテストにおいて、武田 洋一 技術専門職員は、各チームのプレゼンに対しエンジニアの観点から研究活動や取り組みの姿勢等について審査やアドバイスを行いました。

このコンテストは今年で3度目の開催になりますが、技術系職員が審査員を務めたのは今回が初めてとなります。当日のプログラムを以下の通りご紹介いたします。

■令和4年度 いわての高校生サイエンス&エンジニアリング・チャレンジコンテスト

 日時:2022.12.24(土)10:00-16:00
 会場:いわて県民情報交流センターアイーナ803室
 コンテストの情報
  https://www.pref.iwate.jp/kensei/ilc/1057430.html

審査後の交流会において、高校生のコメントに耳を傾ける武田 洋一 技術専門職員の様子

Written by 広報委
(2022.12.27)

米倉達郎技術専門職員も開発に取り組んでいる「氷雪上走行車」の記事が日刊工業新聞電子版に掲載されました

理工学系技術部の米倉達郎技術専門職員が理工学部システム創成工学科の三好扶教授のもとで研究開発を進めている【北極海氷調査を目的とした氷雪上走行車】について、7月1日付日刊工業新聞電子版に掲載されました。

三好扶教授は現在、北極海氷調査システムとして、氷下に投入される水中ロボット(AUV)との通信機能を有する自律氷雪上走行車の研究開発を実施しており、米倉達郎技術専門職員はその自律氷雪上走行車の開発部分を担当しています。日刊工業新聞の記事では、ドライブシャフトにより動力を伝達させた4輪駆動機構、および前輪の角度を自在に変えることによる氷雪凹凸面の安定走行の有効性について紹介しています。従来の方法だと難しかったその場での方向転換が大幅に改善されている様子が伺えます。

米倉技術専門職員は現在、技術開発をより追求するため、社会人ドクターとして研究にも力を注いでいるそうです。今後のさらなる活躍を応援しています。

本情報は、日刊工業新聞電子版に加え、岩手大学・岩手大学理工学部システム創成工学科機械科学コースのHPで紹介されております。日刊工業新聞電子版では氷雪上走行車の動く様子が映像で紹介されていますので、ぜひご覧ください。

■日刊工業新聞電子版

 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00603838

■岩手大学HP「【研究紹介】理工学部三好扶研究室 北極海氷調査を目的とした氷雪上走行車を開発」

 https://www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2022/12/004226.html

■岩手大学理工学部システム創成工学科機械科学コースのHP

 http://www.mech.iwate-u.ac.jp/cgi-bin/news.cgi?f1=1625620770&f2=staff

Written by Fujisaki
(2021.7.20)