岩手大学・岩手医大と連携したヘリウム回収プロジェクト

 2025年12月、岩手大学と岩手医大が連携し、稼働停止したMRIからヘリウム回収プロジェクトが岡山大学、大阪大学、関連業者協力のもと、実施されました。

 ヘリウムは教育・研究に必要不可欠な一方、希少な資源であり全量を輸入に依存してます。近年は供給不足や価格の高騰が続くなど非常に厳しい状況が続いています。

 岩手医大では高磁場MRIを運用しており、2000Lの液体ヘリウムを使用し、研究過程で気化したヘリウムガスは大気中に放出していました。しかし、ヘリウムの高騰などによる運用コストが増大したことから、MRIの運用停止が決定されました。

 本プロジェクトでは、MRI停止後に残留しているヘリウムを回収し、ヘリウム液化機を所有・運用している岩手大学で再利用・再液化して有効活用することを目標に取り組みました。

2025年12月28日(日) 河北新報に掲載

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作業中の集合写真
記者から取材を受けている様子

◆回収量および成果

 回収された液体ヘリウムは以下の通りです。

・液体ヘリウム100L容器×5本

ガス回収バッグ(ガス)1m3×3器

 これらはすべて岩手大学へ移送され、学内の研究機器で再利用されています。回収ガスは再液化され、貴重なヘリウム資源として有効に活用されています。

◆スケジュール

10月~             ヘリウム回収計画の立案・準備

12月初旬       MRI消磁作業

12月15日~ 回収用容器の改良、予冷開始、回収用容器運搬

12月19日       ヘリウム回収テスト(1回目)

12月22日       ヘリウム回収テスト(2回目)

12月23日       ヘリウム本回収作業(メディア取材あり)

◆関連技術開発(別記事で紹介予定)

 関連技術として次の装置の開発を行いました。

 ・ヘリウムリークディテクタ

 ・ヘリウム純度計

Written by mnaka
(2026.1.13)

藤崎聡美 技術室長らの論文がELSEVIER社のOpen Ceramicsに掲載されました

岩手大学は現在、東日本機電開発株式会社(岩手県盛岡市)が事業化を目指す「地域熱エネルギー循環モデル※1」にて熱回収・熱利用の媒体となる「HASClay®※2」の安定的利用に向け、岩手大学・東日本機電開発株式会社・産業総合技術研究所・SAGA-LS・いわて産業振興センター・岩手県と共に、令和3年度から共同研究を展開しております。藤崎室長らはこの研究に主体的に参画し、蓄熱(乾燥)状態及び放熱(吸湿)状態のHASClay®を放射光を用いて非破壊観察し、内部の微細構造解析を行ってきました(継続中)。
この度、これまでの研究成果の一部が論文にまとめられました。Open accessですので、ぜひご覧ください。

本論文をまとめるにあたり、理工学部 吉本則之教授・産業技術総合研究所 鈴木正哉先生、他みなさまに多大なるご指導をいただきました。深く感謝を申し上げます。

Title:
Synchrotron-based X-ray computed tomography analysis of the internal structure and moisture adsorption–desorption behavior of the heat storage and dissipation material HASClay® 

Author:
Satomi Fujisaki a, Rimpei Shibata a, Souta Arakawa a, Yuichi Kouno b, Goh Mitoya b, Hidetaka Miyahara c, Kazuko Manpuku c, Masaya Suzuki c, Moe Tanuma a, Hidehiro Sekimoto a, Akio Yoneyama d, Masakazu Yoshioka a e, Ichiro Hirosawa a d, Noriyuki Yoshimoto a

a:Faculty of Science and Engineering, Iwate University,
b: Higashi-Nihon Kidenkaihatsu Co. Ltd
c:National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST)
d:SAGA Light Source (SAGA-LS)
e:Iwate Industry Promotion Center

Open Ceramics(ELSEVIER):Volume 24, December 2025, 100882
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S266653952500149X

【用語解説】
※1:地域熱エネルギー循環モデルとは
東日本機電開発株式会社が事業化を目指しているシステムの名称です。温泉熱やボイラー熱など地域において廃棄されている熱を回収し農業等に利用することで未利用排熱を有効活用しようとする取り組みで、熱回収・利用のためにHASClay®を用いています。

※2:HASClay®とは
産業技術総合研究所(以下AIST)の鈴木グループが開発した新蓄放熱材料です。水蒸気の吸着・脱離を利用して容易に放熱・蓄熱できることが特徴です。100℃以下の熱での乾燥が可能なため、これまで廃棄せざるを得なかった低温排熱を有効利用できる材料として注目されています。

↑ 2023年8月 SAGA-LS BL07でのX線CT測定時の様子

Written by 広報委
(2025.12.25)

理工学系技術部の武田洋一 技術専門職員が「第20回切削加工ドリームコンテスト」アカデミック部門 銀賞を受賞

 11月18日に開催された「第20回切削加工ドリームコンテスト」表彰式において、理工学系技術部の武田洋一 技術専門職員が出品した作品「琥珀インタリオペンダント」が、アカデミック部門銀賞を受賞しました。

 切削加工ドリームコンテストは、切削型工作機械、アディティブ・マニュファクチャリング、レーザ加工機などの先端加工機を活用する企業・学校・研究機関を対象に、技術・技能の研鑽と向上、ならびに交流を目的として、DMG森精機株式会社が2004年より開催しているコンテストです。

 今回の応募作品「琥珀インタリオペンダント」は、久慈市の久慈琥珀株式会社(新田久男代表取締役社長)によるリファインドアンバーを素材に、高度試作加工センターの工作機械により同時5軸加工によって製作しました。約20mmのボタン形状の琥珀に、宝飾品のインタリオ技法を機械加工で実現するため、試行錯誤を重ねて完成させた作品です。

 なお、本受賞は、2024年の技能賞に続く2年連続の受賞であり、銀賞の受賞は2010年以来、15年ぶりとなります。コンテストの詳細や過去の受賞作品については、コンテスト公式HPおよびYouTubeをご覧ください。

切削加工ドリームコンテスト公式HP
 https://www.dmgmori.co.jp/corporate/dreamcontest

第20回切削加工ドリームコンテスト作品紹介(Youtube)
 https://www.youtube.com/watch?v=ekXTdJkVdog

琥珀インタリオペンダント
武田洋一技術専門職員(左)と久慈琥珀株式会社の新田久男代表取締役社長(右)
受賞メダル

written by Y.T.
(2025.12.15)

高校生ものづくりコンテスト2025岩手県大会の審査員を務めました

2025年11月22日、高校生ものづくりコンテスト2025岩手県大会電子回路組立部門が、黒沢尻工業高等学校を会場に開催され、志田寛技術専門員と古舘守通技術専門員が審査委員及び競技課題作成委員として、千葉寿技術室長が競技課題作成委員として出席しました。

高校生ものづくりコンテストは、全国の工業高校で学ぶものづくりの成果を競い合うコンテストとして、全国工業高等学校長協会主催で開催されており、岩手県大会では、旋盤作業や電気工事、化学分析など7部門で競技が実施されます。

審査では、志田技術専門員が組立技術担当として、基板組立に関するパーツの取り扱いやハンダ付け技術について、古舘技術専門員がプログラム担当として、その構造や記述について審査・採点を行いました。

組み立てた回路を審査する志田副審査委員長(左)とプログラムを審査する古舘審査委員(右)

本大会で上位入賞した生徒さんは、来年度岩手県で開催される東北大会、そしてその先の全国大会を目指すことになります。
ぜひ頑張ってください。

Written by yshida
(2025.12.5)