飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)技術研修を実施しました

昨年度からスタートした共同利用分析機器担当者の技術力強化トレーニングは、これまで 核磁気共鳴 (NMR)や二重収束質量分析(MS)等を用いた研修を実施していました。今回、2025年1月に実施したX線光電子分光(XPS)技術研修でお世話になった東北大学の方々とのご縁から、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)の技術研研修を企画し、3月に実施しました。講師に東北大学の技術職員2名と、大阪大学の技術職員1名にも参加いただきました。

・実施日程:2025年3月17日(月)~18日(火)

・場所:岩手大学 地域共同研究棟(C15)

各大学で所有している装置が違うため、条件設定に工夫を凝らし、データの違いや装置の構造の違い等を確認できました。また、測定やデータ処理におけるノウハウをご教示いただきました。

また、同日に行われていたNMRトレーニングの見学もさせてもらい他担当の方とも交流でき、 技術習得だけでなく、研究者間の交流や情報共有も深まり、非常に有意義でした。

Written by N
(2025.4.1)

X線光電子分光(XPS)技術研修を実施しました

東北大学のXPSを専任で担当している2名を講師に迎え、本学の装置を用いてX線光電子分光(XPS)の技術研研修を行いました。試料の固定方法や分析条件等について、ご教示いただきました。また、同一試料をX線源を変えて測定し、 測定結果の違いを検証しました。
また、本学にある全学共同利用機器の見学をし、東北大学と岩手大学の共用設備について情報交換を行いました。

・実施日程:2025年1月20日(月)~21日(火)

・場所:岩手大学 地域共同研究棟(C15)

普段から装置を利用している学生に声をかけたところ、年度末にもかかわらず多くの学生が参加してくれました。 積極的に質問し、熱心に分析に取り組んでいたため、充実した研修となり、担当者の 技術力向上への意欲を一層高める契機となりました 。

本研修について、東北大学 事業支援機構 総合技術部のHPに掲載いただきました。以下URLよりご確認いただけますので、ぜひご覧ください。

●東北大学 事業支援機構 総合技術部 News
【研修報告】X線光電子分光(XPS)技術研修/分析・評価・観測群

https://www.tech.tohoku.ac.jp/news/detail—id-159.html


Written by N
(2025.3.31)

第29回 技術発表交流会を開催しました(令和6年度)

第29回 理工学系技術部技術発表交流会を、下記のとおり開催しました(2025.3.28)。

今年度は9件の発表があり、すべて口頭発表で行われました。

プログラム

13:00~13:05

開会の挨拶
 理工学系技術部長  長田 洋

13:10~14:40
口頭発表
1(発表15分、質疑応答3 分)

『ウミホタルルシフェラーゼ遺伝子の第5~第6エキソンの解析』
 知能・メディア情報技術グループ ○藤原 歩
 教育学部  安川 洋生

『共同利用機器担当者技術力強化トレーニング実施報告』
 化学・生命技術グループ  ○田沼 萌
 化学・生命技術グループ   田中 一朗
 機器分析技術グループ  水戸部 祐子
 化学・生命技術グループ  中川 美智子
 機器分析技術グループ  吹上 菜穂
 第一技術室  千葉 寿
 第二技術室  笹本 誠

『金属試料の研磨におけるリスクアセスメント』
 材料機能技術グループ  伊藤 達博

『ISAS工作技術交流会 高度試作加工センター加工事例紹介』
 ものづくり技術グループ  太田 敏貴

『脱着型水素継手の再使用化に向けた評価とCAE解析』
 ものづくり技術グループ  武田 洋一

14:35~14:45
休憩

14:45~16:05
口頭発表2(発表15 分、質疑応答3 分)

『河川およびダム貯水池への栄養塩類と抗菌薬の流入実態調査』
 土木環境技術グループ ○鳴海 貴之
 土木環境技術グループ  竹花 和浩
 第二技術室  笹本 誠
 東北大学技術部  高橋 真司
 理工学部  石川 奈緒
 理工学部  伊藤 歩

『ヒヤリ・ハット等の情報共有及び意見交換を行うウェブサイトの開設』
 環境・安全管理技術グループ ○松本 行朗
 材料機能技術グループ  村上 武

『液体窒素漏洩通報システムの開発』
 材料機能技術グループ ○中村 光輝
 第一技術室  千葉 寿

『WAN-WANを活用した装置稼働状況モニタリングシステムの事例紹介』
  第一技術室 ○千葉 寿
  電気電子通信技術グループ  紺野 亮
  知能・メディア情報技術グループ  古舘 守通
  第三技術室  藤﨑 聡美
  分子科学研究所  豊田 朋範
  山口大学総合技術部 ○河本 直哉

16:05
閉会の挨拶

 第一技術室  千葉 寿

総評
  理工学系技術部長  長田 洋

今回の発表会では、理工学系技術部長の長田先生に最初から最後まで参加していただけました。多くの質問・コメントをありがとうございました。

Written by 広報委
(2025.3.31)

第28回 技術発表交流会を開催しました(令和5年度)

第28回 理工学系技術部技術発表交流会を、下記のとおり開催しました(2024.3.27)。

第28回技術発表交流会

発表は口頭発表のほか、コロナ禍で休止していたポスター発表も5年ぶり(2019年3月27日開催の第23回以来)に行われました。

プログラム

13:00
開会の挨拶

13:00~13:50
講演

『南部鉄器とさびのお話』
 理工学系技術部長  八代 仁

14:00~15:00
口頭発表

1)自由公募枠 3件  (発表12 分、質疑応答3 分)

『ドローンと画像処理技術を活用した漁場実態把握調査』
 土木・環境技術グループ ○中村 大樹
 知能・メディア情報技術グループ ○藤原 歩
 第二技術室 笹本 誠

『WAN-WANとの連携を想定したRaspberryPiによるWEBサーバの開発』
 電気電子通信技術グループ ○紺野 亮
 第一技術室 千葉 寿
 電気電子通信技術グループ 庄司 愛子
 知能・メディア情報技術グループ 古舘 守通
 材料機能技術グループ 藤﨑 聡美
 分子科学研究所 豊田 朋範

『岩手大学における局所排気装置定期自主検査について』
 環境・安全管理技術グループ ○松本 行朗
 化学・生命技術グループ 松下 幸司

2)研修発表枠 1件  (発表12 分、質疑応答3 分)

『無酸素銅の旋削加工時の切りくず処理と加工トラブル検知について』
 機械工学技術グループ ○武田 洋一
 ものづくり技術グループ 大志田 宜明
 機械科学コース 吉原 信人 他

15:00~15:30
ポスター発表 3件 
(30 分)

『技術部研修実施報告 -「天井クレーン定期自主検査者安全教育」の受講-』
 材料機能技術グループ 伊藤 達博

『ボールを3次元で回転させる装置の製作』
 知能・メディア情報技術グループ 藤野 圭祐

『緊急用シャワー点検用取水具の開発』
 電気電子通信技術グループ 志田 寛

15:30~16:15
口頭発表

3)研修発表枠 3件  (発表12 分、質疑応答3 分)

『ISAS工作技術交流会への参加報告』
 ものづくり技術グループ 大志田 宜明

『実験装置の振動を検出する警報通知システムの開発』
 電気電子通信技術グループ ○庄司 愛子
 第一技術室 千葉 寿
 知能・メディア情報技術グループ 古舘 守通
 材料機能技術グループ 藤﨑 聡美
 分子科学研究所 豊田 朋範

『技術部研修実施報告 -X線回折装置(XRD)の基礎知識,基本操作スキルの習得-』
 材料機能技術グループ ○伊藤 達博
 材料機能技術グループ 藤﨑 聡美
 材料機能技術グループ 村上 武
 材料機能技術グループ 中村 光輝

16:15
閉会の挨拶

この後、今年度で退職される佐々木茂子室長よりご挨拶がありました。
佐々木室長、42年間おつかれさまでした。

Written by 広報委
(2024.3.29)

メンテナンス不足の万能試験機


ずっとメンテナンスをやっていなかったという自戒の話です。

万能試験機は、コンクリートや金属材料等の強度試験(圧縮・引張・曲げ)に使われます。

写真右側の色分けした部分がそれぞれ動き、下部クロスヘッドと昇降ステージの間で試料を挟むと圧縮試験を、下部クロスヘッドと上部クロスヘッドで試料を掴むと引張試験を、またアタッチメントを付け替えることで曲げ試験を行うことができます。

 

【問題発生】

あるとき、操作パネルから下部クロスヘッドを動かそうとすると

「ガガガッ」

と異音がして止まってしまいました。

自分の背丈を超える機械の「ガガガッ」は、本当に心臓に悪い。

記録しておくべきでしたが動画は撮り忘れました。

【原因調査】

まず疑ったのは下部クロスヘッドが ねじざお と噛んでいる部分の、このボルト。

ですがマニュアルを読むとここには「バックラッシ除去機構」なるものがあり、ねじ間の嚙み合わせの隙間を無くし円滑に荷重をかけるための構造のようで、クロスヘッドが動かなくなる程の影響は無さそうです。

ここで気付きました、ねじざお の下に硬そうなグリスが溜まってはみ出している・・・?

写真は撮り忘れました。

ねじざおの潤滑のため塗ってあったグリスに、コンクリート破壊時の粉塵が長年混じり重なって、非常に硬くなったグリスが詰まり、クロスヘッドが身動きできなくなっていたようです。

この装置を引き継いだ際、「グリス塗らないとすぐ錆びちゃうからね」とは言われていましたが、触ってベタつくくらい残っているから大丈夫だろう、とメンテナンスも何もしていませんでした。交換用のグリスも無ければ手入れ用具もありません。操作用マニュアルはありますが、メンテナンス用のマニュアルがありません。幸いにも、メーカーHPから見つけることができ、適応するグリスが判明しました。掻き落としのための樹脂製のヘラも含めてホームセンターで揃ったので、塗り直し作業を行いました。

 

【古いグリスの除去】

一応、楽なグリスの落とし方がないか調べました。

→「お湯のジェットで洗う」

無理なので樹脂ヘラで掻き落とします。 溝の一つ一つに、きちんとヘラ先・エッジを当てないと上手く剥がれてくれません。そして季節は冬、施設内は外気温に毛が生えた程度、手先はどんどん冷えていきます。

写真は撮り直しました。

 

【塗り直し:二硫化モリブデングリス】

耐荷重・耐衝撃性と、耐寒性・耐熱性(-20℃~180℃)に優れ、粉塵が混じりやすい環境でも影響が少ない潤滑作用(二硫化モリブデン鉱物自体の層構造による)をもつ、とのこと。

掻き落とした古いグリスは冷蔵庫から出したてのマーガリンくらい硬かったのですが、新品のグリスは歯磨き粉のような滑らかさで、そりゃそうだ、もっと早く気付くべきだった、と反省しました。

グリスを等間隔に塗り付け、クロスヘッドを上下させて延ばせると思ってましたが、最初は内側に溜まっていた古いグリスと新しいグリスが混ざったようなものが出てきます。少し勿体ないですがそれも取り除き、塗り直し、今度はムラが気になり、結局は地道にヘラでペタペタやっていきました。

パティシエ気分

 

【余談・別の問題】

塗り直しでクロスヘッドを上下させる際、試験機は最初の写真で示した色分け部分が別々に動くため、同時にステージも上げ下げしなければなりませんが、ステージを上げ過ぎて、安全装置により昇降油圧ポンプが停止してしまいました。しかも電源を入れ直しても起動しません。

同メーカーの比較的新しい試験機を使っている先輩に尋ねたところ、同じ経験があったようで、操作パネル前面を開けるとポンプのブレーカーが落ちているかも、とアドバイスをいただきました。が、それらしいものは見つかりません。

マニュアルで安全装置の仕組みを確認すると、昇降ステージ背面に付けられている出っ張りブロックが、安全装置のスイッチを押し込むことで止まっているようです。

出っ張りブロックは小さなねじで止められているだけだったので、本体電源を落としてブロックを一旦外し、念のためコントロールのつまみをステージが下がる側(安全側)に僅かに回した状態で起動、ポンプも動き、無事にステージを普段の位置まで戻すことができました。

色々あって万能試験機への理解が深まったメンテナンス作業でした。
そのうち、コンクリートの圧縮試験の動画など載せたいと思います。

Written by dnaka
(2024.2.20)