岩手大学・岩手医科大学による使用済みMRIからの液体ヘリウム回収について、ガスレビューに記事が掲載されました

岩手大学は2025年12月23日、岩手医科大学の使用済みMRIから液体ヘリウムを回収し、自大学のNMRへ供給することに成功しました。 これは、液体ヘリウムを液体のまま移送する「逆トランスファー」方式を用いた点が大きな特徴です。

この取り組みが、産業ガス業界専門誌のガスレビュー No.1074[2026.2.15]に掲載されました。

ガスレビューP5
ガスレビューP6

ガスレビュー No.1074 [2026.2.15] 5,6ページに掲載。
ガスレビュー社の許諾を得て転載しています。
「ガスレビュー社に無断で転載することを禁じます」。

回収量

  • 液体ヘリウム:100 Lデュワー × 5本(計500 L)
  • ヘリウムガス:1 m³バッグ × 3基(計3 m³)

意義

  • 大学間連携によるヘリウム資源の有効活用
  • 使用済みMRIの廃棄時に大気放出されていたヘリウムの回収
  • 液化機を持たない機関でも導入可能な新方式
  • 国内のヘリウム自給率向上に寄与

 回収プロセス

  1. MRIの安全な消磁(クエンチを起こさない方法) → 2000 Lのうち約800 Lが残る
  2. トランスファーチューブを接続し加圧
  3. 液体ヘリウムをデュワーへ移送(逆トランスファー)
  4. ボイルオフガスはガスバッグで回収
  5. 岩手大学へ運搬し、NMR・液化機へ供給

技術協力と広域連携

  • 大阪大学、岡山大学が技術支援
  • 岡山大学が進める HeliGet(ヘリゲット)事業 の一環
  • 中四国・播磨地域での HeReNet(ヘリウムリサイクルネットワーク) とも連携
  • 今後は北東北を中心に外部リサイクルの輪を広げる方針

<関連リンク>
岩手大学HP
【プレスリリース】研究・医療資源を連携活用!希少資源であるヘリウムガスを回収・再液化し 「地域循環リサイクル」へ
https://www.iwate-u.ac.jp/info/news/2025/12/007100.html

<関連記事>
岩手大学・岩手医大と連携したヘリウム回収プロジェクト
https://eng.tech.iwate-u.ac.jp/top/?p=11996

Written by mnaka
(2026.2.16)

いわてイノベーション推進リサーチパーク事業の広報動画撮影に参加しました

本学研究支援課では、現在、「いわてイノベーション推進リサーチパーク」事業の取り組みを紹介するためのPR動画の作成を行っています。
この動画では、本学の特色ある研究分野の映像を盛り込みたいとのことで、ものづくり技術研究センター鋳造部門に撮影の協力依頼がありました。
その撮影が2026/2/5(木)に行われましたが、業務支援を行っている私も参加させていただきました。

「いわてイノベーション推進リサーチパーク(通称:I-waRP【アイワープ】」とは・・・

岩手大学、岩手県、盛岡市、いわて産業振興センター、岩手県工業技術センターが強力に連携し、研究成果の社会実装から地域産業振興までを切れ目なく支援するバーチャルなイノベーション拠点の総称。
 いわてイノベーション推進リサーチパーク(I-waRP)公式HP
  https://i-warp.jp/

製造過程(鋳型の造型作業および溶解作業)や、これまでの研究で製作された鋳造品サンプルの撮影が行われました。
外部の専門業者による撮影ということもあり、現場は終始緊張感が漂っていました。

動画の完成はまだ先とのことですが、撮影された映像が、企業と本学の研究とのよりよいマッチングに役立つといいなと思いました。

Written by mito
(2026.2.12)

岩手大学・岩手医大と連携したヘリウム回収プロジェクト

 2025年12月、岩手大学と岩手医大が連携し、稼働停止したMRIからヘリウム回収プロジェクトが岡山大学、大阪大学、関連業者協力のもと、実施されました。

 ヘリウムは教育・研究に必要不可欠な一方、希少な資源であり全量を輸入に依存してます。近年は供給不足や価格の高騰が続くなど非常に厳しい状況が続いています。

 岩手医大では高磁場MRIを運用しており、2000Lの液体ヘリウムを使用し、研究過程で気化したヘリウムガスは大気中に放出していました。しかし、ヘリウムの高騰などによる運用コストが増大したことから、MRIの運用停止が決定されました。

 本プロジェクトでは、MRI停止後に残留しているヘリウムを回収し、ヘリウム液化機を所有・運用している岩手大学で再利用・再液化して有効活用することを目標に取り組みました。

2025年12月28日(日) 河北新報に掲載

この記事は河北新報社の許諾を得て転載しています。また、「河北新報社に無断で転載することを禁じます」

作業中の集合写真
記者から取材を受けている様子

◆回収量および成果

 回収された液体ヘリウムは以下の通りです。

・液体ヘリウム100L容器×5本

ガス回収バッグ(ガス)1m3×3器

 これらはすべて岩手大学へ移送され、学内の研究機器で再利用されています。回収ガスは再液化され、貴重なヘリウム資源として有効に活用されています。

◆スケジュール

10月~             ヘリウム回収計画の立案・準備

12月初旬       MRI消磁作業

12月15日~ 回収用容器の改良、予冷開始、回収用容器運搬

12月19日       ヘリウム回収テスト(1回目)

12月22日       ヘリウム回収テスト(2回目)

12月23日       ヘリウム本回収作業(メディア取材あり)

◆関連技術開発(別記事で紹介予定)

 関連技術として次の装置の開発を行いました。

 ・ヘリウムリークディテクタ

 ・ヘリウム純度計

Written by mnaka
(2026.1.13)