伊藤さん,マテリアル工学実験に参加

伊藤さんがマテリアル工学科の学生実験に参加することになりました.今日から6月まで週2日のペースで14種の実験に参加する予定です.

初日の今日は,金属の弾性率等を測定する実験です.写真左側に見える古い引張試験を使用するため,利用の際の危険性や学生に操作させるときの注意点及び,うまく進めるためのコツなどを説明しました.

ところで,マテリアル工学実験の全14テーマを把握している技術職員はこれまでいなかったと思います.把握しているのはせいぜい3~5テーマではないでしょうか.全ての実験の内容を知りたいとは思っても,そのような機会は中々望めません.今回の研修はまたとない機会ですので,是非頑張って習得してほしいと思います.

written by 材料機能技術グループ
(2012/04/25)

新人がやってきました

4月16日 新人の技術職員 伊藤さんがやってきました.

先週までは事務職員と一緒に研修を受けていましたが,今週からは本格的に技術職員の仕事を学ぶ研修を行います.

今日は材料機能技術グループが研修を担当し,グループが主に支援するマテリアル工学科の研究室を回り,教員から施設などの説明を受けました.下の写真は金属保全センターの教員から機器の説明をうけている様子です.伊藤さんの専門は機械だそうですが,これまであまり関連のない分野だけに,新鮮な刺激を受けていることでしょう.

これから工学系技術室のすべてのグループを回ることになりますが,是非いろんなことを学び取ってほしいと思います.

written by 材料機能技術グループ

低温室とは

低温室とは全学に寒剤(液体窒素、液体ヘリウム)を供給している全学共通施設です。利用内容は様々で教育研究の重要インフラでもあり、多くの技術職員が管理運営にあたっています。今年大幅な設備更新を行ったので業務内容も含めて紹介します。

  • 液体窒素(-196℃)の供給

液体窒素は空気を冷却することで製造されるため、安価な寒剤で細胞の凍結保存、凍結切片等試料作製、超伝導、電子顕微鏡等多岐にわたって利用されています。

写真は今年設置された液体窒素自動充填システムです。

  • 液体ヘリウム(-269℃)の供給

ヘリウムガスは空気中に微量しかなく、天然ガスに含まれているヘリウムを分離し作られています。日本ではほとんどを輸入し、希少で価格も高くなっています。そこで低温室では使用したヘリウムを回収し、再液化しNMR、超伝導磁石等に利用されています。安定供給するため回収率、回収純度の向上に努めています。

写真は今年導入したヘリウム液化装置です。

これらの寒剤は爆発、酸欠、凍傷などの危険があるため、利用には注意が必要です。岩手大学ではありませんが現実に死亡事故も起こっています。

低温室では、寒剤を安全で安定に供給するため講習会や日常点検、保安検査等日々行っています。また低温室は高圧ガス製造設備になっていますので、高圧ガス保安法の規制を受けています。

次回、低温室と高圧ガス保安法について紹介します。

学生実験支援の紹介

化学系の学科かな(?)と思われるような、無機系の化学実験と電気化学実験の支援の様子を紹介します。

最終的に分析機器による分析をしますが、前段階として試料を溶解し溶液にしなくては、測定することができません。以下では、前処理の様子や、各種分析の様子を紹介しています。

↓ 亜鉛を電解採取し、その重量から電流効率・電気エネルギー量を検討します

↓ 水素化ひ素をピリジン溶液(Ag-DDTC溶解)に吸収させ呈色反応し、
吸光光度計にて測定します

↓ 亜鉛地金中の鉛を原子吸光光度計で測定

↓ チオ硫酸ナトリウム溶液によるCu分析

↓ 分解電圧を測定し、電解製錬における電解採取の原理を理解

使用する器具はほとんどが、ガラス製ですので取り扱いには、充分な注意が必要です。また劇物指定の試薬を使用しますので、ドラフトチャンバーおよび室内の換気扇は、フルに作動させます。もちろん廃液は分別回収しています。

X線回折装置の運用管理 その2

前回の記事:X線回折装置の運用管理 その1

この装置を利用して得られた分析結果は、学生実験の報告書や卒業論文、さらには学会発表や投稿論文として大学の外にも広く示されることになります。 そうした実情に鑑みると、XRD装置が果たしている役割は重要なものであり、最善の運用状態を長期に渡って保つことが求められます。このXRDは導入され てから1年程ですが、高価な分析機器ですので、装置が新しい現時点における管理の質こそが今後の劣化や寿命を左右します。こうした業務に携わっている技術 職員は、機器に対して長期に渡る責任を負っています。

さらには、学生や教員の方々からリクエストが寄せられた場合には、XRD装置の使用方法や分析のテクニックについてアドバイスをすることもありま す。これは装置の操作を正しく知って貰うことによって、誤使用などに起因する破損や故障を予防することが一つの目的です。それと共に、機器が数多く備えて いる応用機能に広く触れて貰うことが、分析作業の効率化や高精度化につながる場合もあるからです。実は分析する試料の性状によっては、「自動」分析よりも 「手動」分析を行った場合の方が、各々の材料に応じた一層信頼度の高い分析成果を生むこともあります。XRD装置の隅々までを理解し、その持てる能力を存 分に引き出す役割をも担っている側面が技術職員にはあるのです。