X線回折装置の運用管理 その1

工学部マテリアル工学科内にて共用している装置の一つに「X線回折装置(XRD)」があります。(→このXRDは何をする装置なのかについてはこちらへ)この機器は2010年3月に導入されて以来、教育用(自作した薄膜を分析する学生実験など)および研究用(試作した材料の元素分析など)として数多く利用されています。

この装置の最大の長所は、操作が容易な上に試料の分析を簡便に行えることです。簡素な装置ながら、非常に高度な結晶構造分析をも実現できます。XRD装置の測定原理は、これまで長らく活用されてきた言わば成熟したものですが、その用途は大変幅広く、また奥深いものです。

この機器に備わる全ての機能を常に万全の状態で利用できるように維持しているのが技術職員です。日頃から装置のコンディションをこまめに確認して、不具合の予兆を逃さずに把握し、それを未然に防ぐ対策を講じています。例えば、分析の際に強いX線を発する「X線管球」は発熱して高温となるため、冷却用の循環水として蒸留水を使用しています。この水量や水圧が許容範囲内にあるか否かは装置運転の可否に直結します。またこの循環水の冷却は空冷式で行われていますが、ファンモータの不具合やフィルタの目詰まり等による冷却機能の低下にも注意を払う必要があります。さらには循環水の水質など、チェック項目は多岐に渡ります。

つづき:X線回折装置の運用管理 その2