学生実験支援の紹介

化学系の学科かな(?)と思われるような、無機系の化学実験と電気化学実験の支援の様子を紹介します。

最終的に分析機器による分析をしますが、前段階として試料を溶解し溶液にしなくては、測定することができません。以下では、前処理の様子や、各種分析の様子を紹介しています。

↓ 亜鉛を電解採取し、その重量から電流効率・電気エネルギー量を検討します

↓ 水素化ひ素をピリジン溶液(Ag-DDTC溶解)に吸収させ呈色反応し、
吸光光度計にて測定します

↓ 亜鉛地金中の鉛を原子吸光光度計で測定

↓ チオ硫酸ナトリウム溶液によるCu分析

↓ 分解電圧を測定し、電解製錬における電解採取の原理を理解

使用する器具はほとんどが、ガラス製ですので取り扱いには、充分な注意が必要です。また劇物指定の試薬を使用しますので、ドラフトチャンバーおよび室内の換気扇は、フルに作動させます。もちろん廃液は分別回収しています。

X線回折装置の運用管理 その2

前回の記事:X線回折装置の運用管理 その1

この装置を利用して得られた分析結果は、学生実験の報告書や卒業論文、さらには学会発表や投稿論文として大学の外にも広く示されることになります。 そうした実情に鑑みると、XRD装置が果たしている役割は重要なものであり、最善の運用状態を長期に渡って保つことが求められます。このXRDは導入され てから1年程ですが、高価な分析機器ですので、装置が新しい現時点における管理の質こそが今後の劣化や寿命を左右します。こうした業務に携わっている技術 職員は、機器に対して長期に渡る責任を負っています。

さらには、学生や教員の方々からリクエストが寄せられた場合には、XRD装置の使用方法や分析のテクニックについてアドバイスをすることもありま す。これは装置の操作を正しく知って貰うことによって、誤使用などに起因する破損や故障を予防することが一つの目的です。それと共に、機器が数多く備えて いる応用機能に広く触れて貰うことが、分析作業の効率化や高精度化につながる場合もあるからです。実は分析する試料の性状によっては、「自動」分析よりも 「手動」分析を行った場合の方が、各々の材料に応じた一層信頼度の高い分析成果を生むこともあります。XRD装置の隅々までを理解し、その持てる能力を存 分に引き出す役割をも担っている側面が技術職員にはあるのです。

X線回折装置の運用管理 その1

工学部マテリアル工学科内にて共用している装置の一つに「X線回折装置(XRD)」があります。(→このXRDは何をする装置なのかについてはこちらへ)この機器は2010年3月に導入されて以来、教育用(自作した薄膜を分析する学生実験など)および研究用(試作した材料の元素分析など)として数多く利用されています。

この装置の最大の長所は、操作が容易な上に試料の分析を簡便に行えることです。簡素な装置ながら、非常に高度な結晶構造分析をも実現できます。XRD装置の測定原理は、これまで長らく活用されてきた言わば成熟したものですが、その用途は大変幅広く、また奥深いものです。

この機器に備わる全ての機能を常に万全の状態で利用できるように維持しているのが技術職員です。日頃から装置のコンディションをこまめに確認して、不具合の予兆を逃さずに把握し、それを未然に防ぐ対策を講じています。例えば、分析の際に強いX線を発する「X線管球」は発熱して高温となるため、冷却用の循環水として蒸留水を使用しています。この水量や水圧が許容範囲内にあるか否かは装置運転の可否に直結します。またこの循環水の冷却は空冷式で行われていますが、ファンモータの不具合やフィルタの目詰まり等による冷却機能の低下にも注意を払う必要があります。さらには循環水の水質など、チェック項目は多岐に渡ります。

つづき:X線回折装置の運用管理 その2

「防災リーダーコース」 テーマ5(津波)

地域を支える「エコリーダー」「防災リーダー」育成プログラム

この育成プログラムは社会人を対象に、環境問題や地域防災活動の重要性を地域、学校、職場などへ伝え、そこでの活動を牽引するリーダーを育成することを目的として、「エコリーダー育成コース」と「防災リーダー育成コース」の2コースを設けて開講されているプログラムです。

プログラムHP http://www.cande.iwate-u.ac.jp/SeLSEC/

このプログラムは社会環境工学科が中心となって運営しており、いくつかのテーマにおいて土木・環境技術分野のスタッフも講義や事務局運営等の支援を行っており、地域貢献の一環でもあります。ここでは分野のスタッフが関わったことについて、何回かに分けて紹介しています.今回は第7回目です.

10月9日(土)

津波に関する講義と通常の波と津波の違いを理解できるような実験を行っています

実験で使用している水路は長さ26m、幅0.8m、深さ1m の2次元造波水路で、一定周期で波高の同じ波(規則波)や周期が不規則で波高もその都度異なる自然に近い波(不規則波)、津波(孤立波)を発生させることができます。水路中には沖合から陸地までの地形をイメージしたスロープと陸地部分が設置されており、沖合での波が陸に近くなるに従って変化していく様子も観察することができます。

(写真1 波の解説)

実験の中で津波を実際に受けて、津波の強さを体験してもらっています。(以下は過去の記録です)
津波の大きさは10cm程度ですが、津波が迫ってくると緊迫感が増すようです(写真2)
そして波を受けた瞬間、想像以上の強さにほとんどの方が驚かれます(写真3)
さらに2~3cmほど大きな津波を受けてもらうと、その強さの違いに、さらにビックリ!

(写真2 津波を受ける準備)

(写真3 津波を受けた瞬間)

これが50cm、1mだったら…
実体験を通じて想像することもできると思いますし、津波警報・注意報での50cmの津波が予想されますとの現実味を改めて考えさせられるのでは…との思いを抱きながら実験を行っております。

「防災リーダーコース」 テーマ4(洪水)

地域を支える「エコリーダー」「防災リーダー」育成プログラム

この育成プログラムは社会人を対象に、環境問題や地域防災活動の重要性を地域、学校、職場などへ伝え、そこでの活動を牽引するリーダーを育成することを目的として、「エコリーダー育成コース」と「防災リーダー育成コース」の2コースを設けて開講されているプログラムです。

プログラムHP http://www.cande.iwate-u.ac.jp/SeLSEC/

このプログラムは社会環境工学科が中心となって運営しており、いくつかのテーマにおいて土木・環境技術分野のスタッフも講義や事務局運営等の支援を行っており、地域貢献の一環でもあります。ここでは分野のスタッフが関わったことについて、何回かに分けて紹介しています.今回は第6回目です.

9月25日(土)

洪水に関する講義といくつかの洪水現象について、水理実験装置や模型実験を通して理解を深めてもらっています。

堤防が整備され河川の氾濫(外水氾濫)の被害が軽減された地域でも、場合によっては違った要因で宅地側が水に浸かるという被害例(内水氾濫等)も報告されてます。例として、宅地内水路の排水が樋門を通じて排水されている場合、河川の水位と樋門水路側の水位によって水がどう動くのか? 河川水位が高く樋門から水が逆流するような状態で樋門を閉め、宅地側に多量の降雨があり水路に多量の水が流入してきた場合どのような状況になるのか? 座学ではなかなか理解しにくい状況を、模型実験(写真1)を通して受講生自らが状況を操作し、その違いを確認することによって理解を深めてもらいます。

(写真1 堤防と樋門の効果について)

次は堤防の決壊モデルの模型実験です。
受講生の皆さんに“砂遊び感覚”で堤防を自作してもらい(写真2)、河川の水位を徐々に上昇させていきます。砂で造った堤防でも、水位の上昇中に崩れることはなく、堤頂部を越流した瞬間から一気に崩壊に至る(写真3)という状況を見ることができます。この崩壊現象は見方を変えれば、山間部で斜面災害により河道を土砂が塞いでしまい土砂ダムが形成された場合の、土砂ダム崩壊現象の一例と捉えることもできます。

(写真2)

(写真3)