TEMのピント合わせ はじめに

私は,TEMのほかにSEM(走査型電子顕微鏡)も経験があるのですが,SEMと比較すると,TEMのピント合わせは格段に難しいです.

SEMのピント合わせに必要なのは,ある程度コントラストが調整できている場合,Focusと非点のつまみだけですが,TEMではさらに光軸の調整が加わってきます.

さらにTEMではコントラストが乏しく,非点がでたときの像の流れがわかりづらいです.試料の中の適切な位置(アモルファスパターンなど)を見つけ,Focusをわざとずらしたり,ビームの大きさを変えながら,像の流れ,コントラストのバランスを見ながら非点を調整していきます.

最近のTEM修行で,ローレンツTEMをやっているうちにピント調整と非点除去のコツが見えてきましたので,何回かに分けて報告したいと思います.(最終的に高分解能TEMでのピント合わせまでいければいいですが,果たしてうまくいくでしょうか?)

なお,我々のTEMは,フィリプス社 TECNAI30 Lorentzです.他のTEMを全く知らないので,操作を説明する際,TECNAIで用いられる用語をそのまま用いるので,他の会社のTEMの参考にならないかもしれません.

また試料は鉄系の強磁性材料がメインになります.

(つづく)